求人票に書かれていないことは、業態ごとに決まっています

転職を考えて求人票を並べていると、こんな感覚になることがないでしょうか。

どれも悪くないのに、決め手がない。

給与も休日も、極端に悪いところは少ない。それでも「ここにしよう」と思えない。

理由は、あなたが最後に確かめたい一点が、どの求人票にも書かれていないからです。

ケアみるでは、医療・介護・障害福祉の事業所の募集を読み続けています。業態をまたいで読んできて、はっきり分かったことがあります。

書かれていないことは、業態ごとにほぼ決まっている。

この記事では、業態別に「求人票では分からない一点」と、見学や説明会でそれをどう聞けばいいかをまとめました。

なぜ、いちばん知りたいことが書かれていないのか

先に、少しだけ事業所の側の事情に触れます。意地悪で隠しているわけではないことが多いからです。

一つ目は、書く欄がないこと。ハローワークの求人票は様式が決まっていて、「夜勤は何人体制か」「仮眠が取れるか」といった項目の欄がありません。事業所がいちばん伝えたいことが、様式に収まらないのです。

二つ目は、当たり前になっていること。毎日やっていることは、強みだと気づきにくいものです。「看護師とリハビリ職で給与のベースが同じ」「他職種を下に見る言動があれば必ず注意する」。実際にそうしている事業所に「それは珍しいので書いた方がいい」とお伝えすると、「書いていませんでした」と返ってくることがよくあります。

三つ目は、応募する側が何を気にするか知らないこと。事業所の多くは採用の専門家ではありません。何が決め手になるのかを、そもそも把握していないのです。

つまり「書いていない」ことは、その事業所が悪いというサインではありません。聞けば答えてくれることがほとんどです。だから、見学や説明会で聞く。それが一番早い方法になります。

業態別・求人票では分からない一点

訪問看護

聞く一点は、オンコールが実際に鳴る回数と、家を出る回数です。「オンコール月4〜5回」は当番の回数で、鳴る回数とも出動する回数とも別です。担当する人が何人いるかで負担が変わります。

もう一点は、一日の訪問件数。「ひとりに丁寧に向き合う看護」と書かれていても、一日4件か6件かで意味がまるで変わります。件数を書いている求人はほとんどないので、ここは聞く価値があります。

オンコールについては訪問看護のオンコール、実際は月に何回鳴る?見学で確かめるべき5つの質問で詳しく書いています。

訪問介護

聞く一点は、移動の時間と訪問先の距離です。時給がいくらでも、移動が無給で一日に遠い3軒を回るなら、実際の手取りは思ったほどになりません。

  • 移動の時間に手当は出ますか
  • 一日に回る件数と、だいたいの移動距離はどのくらいですか

経験のある方は、時給より先にここを見ます。

訪問入浴

ここは「一人にならない訪問」です。訪問入浴は看護職と介護職の3人一組で動くのが基本です。訪問系に興味はあるけれど一人で判断するのが不安、という方にはいちばん合っています。求人票に書かれていないことが多いので、体制を確認してみてください。

訪問診療の看護師

医師と一緒に動くのが特徴です。その場で一人で判断する場面が訪問看護より少なくなります。在宅に関心はあるが一人は不安、という方に向きます。

特別養護老人ホーム・介護施設

聞く一点は、夜勤のとき一人で何人を見るかです。施設介護で応募を迷ういちばんの理由がここです。

  • 夜勤は一人あたり何人を担当しますか
  • 仮眠は何時間取れていますか

介護老人保健施設(老健)

聞く一点は、在宅に戻られた割合です。老健は在宅復帰を目指す施設なので、看取りが中心の施設とは仕事の中身が違います。よくなって帰っていく姿を見たい方には、ここが決め手になります。

デイサービス・通所介護

聞く一点は、レクリエーションを誰が考えているかです。毎日のレクを職員が持ち回りで企画するのか、決まった形があるのか。得意な方には楽しい仕事ですが、苦手な方には重い負担になります。

グループホーム(夜勤・世話人)

聞く一点は三つあります。

  • 夜間は何人体制ですか
  • 仮眠は取れますか
  • 急変のとき、誰に連絡できますか

加えて、調理があるかどうか。世話人の仕事に夕食の準備が含まれている事業所は多く、知らずに入って驚く方がいます。料理が好きな方には、むしろ嬉しい情報です。

居宅介護支援(ケアマネジャー)

聞く一点は、一人あたりの担当件数です。これが働き方をほぼ決めます。

あわせて聞いておくとよいのが、事業所としてどこまで引き受けるかの線引きです。介護保険の対象にならない相談をどこまで受けるかが決まっていない事業所では、丁寧な方ほど抱え込んで疲れてしまいます。「事業所として、ここまでは受けてここからは他機関につなぐ、という決まりはありますか」と聞いてみてください。

児童発達支援・放課後等デイサービス

保育士・児童指導員の方が聞く一点は、療育のやり方を入ってから教えてもらえるかです。保育園から移る方がいちばん不安に思うところです。

もう一点は、一日の定員と職員の人数。「一人ひとりとじっくり関わる」を確かめられるのは、この数字だけです。

送迎がある事業所では、運転が苦手な場合どうなるか。放課後等デイで応募が止まるいちばんの理由が送迎です。慣れるまで同乗できるか、送迎のない勤務があるか。

児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者

聞く一点は、研修の費用と受講中の扱いです。資格要件を満たすには研修が必要で、回数も定員も限られています。実務の年数は足りているけれど研修をまだ受けていない、という方は多いはずです。

  • 研修の費用は事業所が負担しますか
  • 受講している期間は勤務として扱われますか

ここが整っている事業所は、人を育てる前提で考えています。

リハビリ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)

聞く一点は、同じ職種が何人いるかです。発達分野や在宅に移るときの最大の不安が「一人職場になること」です。相談できる同職種がいるかどうかで働き方が変わります。

もう一点は、評価や記録の積み上げが残る形になっているか。医療機関と違い、積み上げたものがキャリアとして見えにくいのではないか、と心配される方が多い部分です。

就労移行支援・就労継続支援

聞く一点は、福祉と専門分野のどちらから入れるかです。就労支援の支援員は、福祉の経験がある方はパソコンや専門分野が不安、専門分野の経験がある方は福祉が不安、という状態になりがちです。入ってから学べる体制があるかを聞いてください。

もう一点は、職員が実際に何をしているのか。就労支援は外から仕事の中身が見えにくい業態です。利用者の方の作業の様子だけでなく、職員が一日どう動いているかを見学で見せてもらうのがいちばん確実です。

医療的ケア児・重症心身障害児の支援

聞く一点は、最初は同行できるかです。経験の有無より、ご家族が見ている前でケアをすることに構える方が多い領域です。親御さんの方が手技に慣れていることも珍しくありません。

  • 最初のうちは先輩と一緒に入れますか
  • ご家族のやり方を教わりながら進めても大丈夫ですか

ここが大丈夫なら、小児の経験がなくても入れる職場は実際にあります。

障害福祉の訪問系(居宅介護・重度訪問介護)

聞く一点は、資格の取得支援があるかです。介護保険の訪問介護の経験がある方は、障害福祉で必要な資格を持っていないことがよくあります。制度が別なので、名前も「訪問介護」と「居宅介護」で違います。

求人を探すときは「訪問介護」だけでなく「居宅介護」「重度訪問介護」でも探してみてください。同じような仕事なのに、言葉が違うだけで見つからない求人があります。

事務職(訪問看護・介護事業所)

聞く一点は、医療の知識がどこまで必要かです。「医療の経験がないと無理ではないか」と思って応募を見送る方が多いのですが、実際には電話対応と事務作業が中心の事業所もあります。請求業務まで含むのか、入ってから覚えられるのかを聞いてみてください。

聞きづらいときの言い方

ここまで挙げた質問は、どれも面接の場では聞きづらいものです。評価される側なので、どうしても遠慮が働きます。

だから、見学や説明会の場で聞きます。言い方の例をいくつか挙げます。

  • 働き方を具体的に知りたいので伺うのですが、夜勤は一人あたり何人を担当されていますか
  • 生活のリズムを考えたいので、オンコールは実際に何回くらい鳴りますか
  • 自分に合うかを確かめたいので、一日の訪問件数を教えていただけますか
  • 経験がない分野なので、最初はどのように教えていただけるか伺えますか

「条件を知りたい」ではなく「自分に合うかを確かめたい」という言い方にすると、ずっと聞きやすくなります。事業所の側も答えやすくなります。

答えが返ってこなかったとき

「あまり気にしなくて大丈夫ですよ」と流される場合は、二つの可能性があります。

一つは、本当に負担が軽いので気にしていない場合。この場合は具体的に聞けば数字が出てきます。

もう一つは、把握していない場合。夜勤の人数や訪問件数を即答できない事業所は、現場の状況を数字で見ていない可能性があります。

どちらなのかは、同じことを別の言い方でもう一度聞くと分かります。数字が出てくるか、出てこないか。それが一つの判断材料になります。

まとめ

  • 求人票に書かれていないことは、業態ごとにほぼ決まっている
  • 書かれていないのは、様式に欄がないか、当たり前になっているか、応募者が何を気にするか知らないから
  • だから聞けば答えてくれることが多い
  • ただし面接では聞きづらい。見学・説明会の場が適している
  • 「条件を知りたい」より「自分に合うかを確かめたい」と言う

自分の業態の一点だけでも持って見学に行くと、帰り道で比べられるものが増えます。

ケアみるでは、見学や説明会から職場を探せるようにしています。聞きたいことが決まっていなくても、まずは見てみるところから始めてみてください。